3−5−3 母原地区

北九州市小倉南区母原周辺には、Aso−4に覆われるH面・M面、Aso−4を載せないLL面群(L面より低位の段丘面)、および現在の河川沿いに発達する沖積面が分布している(図3−8)。本地域では、H面はH1面・H2面に細分できるが、広域的にそれらを対比することは今のところ困難である。また、LL面も広域的に対比することができないが、ここではLL1面〜LL2面に細分される。トレンチ地点は、LL2面上に位置する。

本地点では、LL2面に撓曲変形が認められる(図3−6d)。本段丘面は、紫川支流の母原川が西流して形成した河成段丘面である。したがって、段丘面の高度は東から西へ高度を減じてゆくはずである。ところが、LL2面は、日田彦山線の西側でほぼ水平ないしは逆に西に傾くようになり、さらに西方で本来の勾配で東へ傾く。このような変形は、西上がりの活断層変位を示す。LL2面の上下変位量は、2.8m程度である。このような地形的特徴に基づき、撓曲変形帯の基部をトレンチ調査地点に選定した(図3−23)。