(1)共通反射点編集(CDP編集)
全記録の発振点・受振点座標を用いて、反射点(発振点と受振点の中点座標)の分布図を作成し、反射点の分布が密な位置を選び、重合測線(CDP測線)を設定した。
*CDP間隔 : 12.5 m (受振点間隔25mの1/2)
*総CDP数 : 1370
(2)屈折波解析(Refraction Analysis)
全ての現場原記録から初動走時を読みとり、その値から発振点・受振点・表層基底層速度を未知数とするインバージョンを行い(改良タイムターム法)、表層の構造を求めた。この結果を図4−3に示した。図の上部は得られた表層基底層の速度、下部は得られた表層構造である。横軸は重合測線のCDP番号である。
表層基底層の速度は約1800m/sで側方変化は少ない。表層速度を800m/sと仮定した時の表層の厚さ20m程度であり、地形変化に伴い若干の変化をしている。
この結果は、表層第一層の厚さの変化および標高変化に対する走時変化の補正(屈折波静補正)のデータとして用いた。
(3)最小位相変換(Minimum Phase Conversion)図4−4−1、図4−4−2
現場でコリレーション処理後の震源波形は、ゼロ位相(図4−4−1)となっているが、後に述べるデコンボリューションを行うと波形の歪が起こる。これを避けるために、震源波形をゼロ位相から最小位相変換するオペレータを設計し、それを原記録に適用する最小位相変換を行った。
(4)振幅補償(Gain Recovery)
反射波の距離による減衰(幾何発散(Geometrical Spreading))効果を補正した後、ゲート長2000msecの自動振幅調整(AGC)を行った。
(5)デコンボリューション(Deconvolution)
発振点・受振点の特性の相違を補正し、分解能の高いデータを得るためのデコンボリューション処理を行った。
テストの結果(図4−5−1、図4−5−2、図4−5−3)パラメータは、以下とした。
*ゲート長 : 2000 msec
*オペレータ長 : 240 msec
*ホワイトノイズ : 0.1 %
*予測距離 : 4 msec
*時間ゲート :NonTV
(6)速度解析(Velocity Analysis)
定速度重合法(Constant Velocity Stack (CVSK))を用い、測線に沿った100CDP毎の地点で速度解析を行った(測線上14箇所)。なお、速度解析は、残差静補正前後で2回行った。
速度解析例を図4−6に示した。CDP No.620付近の解析結果である。
(7)NMO補正(NMO Correction)
各速度解析点で決定した速度関数(To,V)を測線方向に内外挿することにより、速度断面図(図4−13)が得られ、これを用いてNMO補正を行った。
(8)残差静補正(Residual Statics)
屈折波を用いた静補正では、比較的長周期の補正値は精度良く補正されるが、短周期の受振点・発振点固有の補正は不十分である。そこで、NMO補正後のデータの反射波を用いた残差静補正を行った。
残差静補正は、2回行った。
(9)重合(CDP Stack))
NMO補正、残差静補正終了後、各CDP内の反射波走時は、同一時間に並び、屈折波・表面波・ノイズ等は同一走時とならない。そこで、これらを足し合わせる(重合)ことで、S/Nの良い反射記録が得られる。標準重合数は、60重合であった。
(11)基準面補正(Datum Correction)
重合処理までの基準面は、各CDP毎に、CDPを構成するデータの発振点・受振点の平均標高(Floating Datum)とした。重合後の水平な基準面として平均海水面を選んだ。
(12)F−X予測フィルタ(F−X Prediction Filter)
重合後のデータにふくまれるランダムノイズを抑制する目的でF−X予測フィルタを適用した。
(13)最終断面図(Final Filtered Stack)
重合後のデータに対して、フィルターテスト、スケーリングテストの結果、以下のフィルターおよびスケーリングを行い、最終重合断面とした。
・タイムバリアントバンドパスフィルタ(オペレータ長 240 msec)
時間ゲート パスバンド
0 −− 2.0 sec 8 −− 60 Hz
2.0 −− 4.0 sec 8 −− 50 Hz
4.0 −− END 8 −− 40 Hz
・AGC ゲート長 1000 msec
(14)マイグレーション(Migration) 図4−14−1、図4−14−2、図4−14−3
重合断面図上では、反射波は、各CDP位置から反射面までの往復垂直走時がそのCDP位置に表現されている。従って、傾斜した反射面に対しては、重合断面図上の反射面の傾斜/位置が、真の構造から若干ずれてくる。これを補正し、各CDP直下の構造形態を表す様にする処理がマイグレーション処理である。
差分近似のマグレーション処理を行い、速度は重合速度をスケーリング無しで用いた。
(15)深度変換(Depth Conversion)
マイグレーション後の記録に対し、速度関数を用いて、時間軸の深度軸への変換を行った。