資機材搬入後、3月1日より受振器/ケーブル等の設置作業を開始し、
本測定に先立ち、3月4日、多摩川河川敷高津区側に於いて測定仕様決定のための各種テストを実施し、それらの結果に基づいて、同日、同河川敷より発振を行い本測定作業を開始した。
以後、概ね順調に測定作業を進め、3月17日、測線南端の横浜市旭区上川井町地区での発振をもって全測定作業を終了、引き続き観測機器等の撤収、資機材の搬出作業、関係各所への終了挨拶等を行い3月23日に現地調査を終了した。
今回は川崎市、横浜市という大都市圏での調査のため、地元関係先への説明は元より、地域住民への周知徹底のためのチラシ配布等の調査前準備が調査測線近傍全区間にわたってなされ、又、実発振作業時にもできうる限り各戸訪問説明等を行った。その結果、多くの方々は調査の趣旨を理解し興味を示して比較的協力的であった。
(1)発振作業
住宅地においては、発振点毎の騒音・振動の様子を確認しながら、適宜 *バイブロサイスの台数(1台〜4台)
*スイープ数
*出力レベルの調整
等を行った。
また、都市部においては、主要道路には上下水道管、送ガス管等の各種埋設管が設置されている場合が非常に多く、本調査では、極力埋設管直上の発振を避ける様に工夫した。
原則として4台稼働、12回スタック/点を基準としたが、各発振点の状況に応じ臨機応変に対処した。バイブレータ発振出力についても状況に応じ3段階(90,60,40%)に変えて行った。また、現地状況の許す限りスタック回数及びバイブレータ発振出力を上げ記録質向上に努めた。 以下に発振点状況(表3−4−1−1)を示す。
上表について補足すると、発振仕様1&2の地区内訳は川崎市高津区第三京浜下の31点、横浜市都筑区港北ニュータウンの106点が主となる。発振仕様7は、川崎市宮前区野川の道幅の狭い住宅地域での発振がその殆どを占める。発振仕様5&6は、横浜市緑区三保町の閑静なマンション群脇を通る道路である。
(2)受振器設置作業
大都市圏であるため、商店街や官庁街だけでなく住宅街に於いても舗装されている所が非常に多く、正規間隔で土中に設置が困難な受振点が数多くあった。その際は、
*バンチング設置
*アルミ製受振器スタンドを使用した設置
等で対処した。
また、調査測線と交差する幹線道路が多数あり、本線ケーブルの道路横断には、信号柱、電柱等を用い高架渡しを行った。
北側区域高津区の第三京浜側道(一方通行路)(Loc.1〜120)では、舗装路面のためその約5割が土中に設置できず、アルミ製スタンドを使用せざるを得なかった。ほぼ正常な受振器展開ができたのは、南側区域緑区三保町から最終点までの僅かな区間であった。
都筑区港北ニュータウンでは、住宅、商店前を次々と通るため、通行人の支障とならないよう歩道の植え込み等に設置しできるだけ展開長をとった。
また、交通量の多い幹線道路に交差する個所では、伝送ケーブル類を路上に設置することは危険であり且つデータ伝送上に関しても余り好ましくないので、申請及び契約締結の下に電柱(東京電力管理)或いは信号柱(警察署管理)を利用し共架とした。共架個所は計6個所に及んだ。これ以外の交差点では近くの歩道橋等を迂回させた。迂回距離は最長個所で約600mであった。
以下に受振器の設置状況(表3−4−1−2)を示す。
本調査の測定仕様は以下の通りである。
<発振系>
・震 源 : IVI Y−2400 バイブレータ 1−4台
・スイープ周波数 : 8−60Hz(リニア)
・スイープ長 : 25 sec
・スイープ数 : 12 回(標準)〜 16回
・位相制御方式 : Ground Force
・発振点間隔 : 50 m 標準
・総発振点数 :252 点
<受振系>
・受振器 : HGS SM−7(固有周波数10Hz)
・個数/受振点 : 18 個
・受振器展開 : 1.39mリニア
・受振点間隔 : 25 m 標準
・総受振点数 :784 点
<記録系>
・探鉱機 : ディジタルテレメトリGDAPS3一式
・サンプル間隔 : 4 msec
・記録長 : 12 sec(コリレーション後)
・チャネル数 :248 チャネル
1発振点あたり6Km(25m × 240)の展開を用いて同時受振観測を行う。
・フィルター ロ−カット; 12HZ/18dB/oct
ハイカット: 90HZ/72dB/oct
・プリアンプゲイン: 36dB
・ゲインモード : I.F.P.
・ノイズエディット: ウィンドウ長 37秒
サプレッションファクター 3.0
なお、本調査で用いたディジタルテレメトリ探鉱機および震源バイブロサイスの仕様を図3−5および図3−6に示した。また、受振器から探鉱機への信号の流れを模式的に表したシステムダイアグラムを図3−7に示した。