(2) 各層の14C年代は次のようであった。F層の14C年代は1650±50yBP、E層1600〜1400yBP、D層1,400〜850yBP、C層は840±90、A層下部660±85yBPなお、@層中部に宝永スコリア(F−Ho)が分布することから、G層中部の年代は、AD1707である。
(3) これらの層のうちC〜E層の堆積構造は、ほぼ水平であり、地層内部の個々の礫の配列も概ね水平である。地層の乱れがみられるところは、東側法面E14〜E17、南側法面S05付近およびE05の3箇所である。この3箇所では、地層内部の礫の配列や砂の並び等が地層の変形や乱れに同調するように変形したところがみられた。また、地層の乱れ、変形等は、C層およびそれ以下の地層が同時に変形したことを示している。これらのことから、C層からE層までの地層の乱れや変形は、C層堆積後に断層等による影響を受けたためと考えられる。
(4) B層およびB層より上位の層は、水平に下位の層を覆っていて乱れもみられない。このことから本調査地点では、B層堆積後は少なくとも断層活動などの影響を受けていないことが確認された。
(5) 北武断層の本地点での最新活動時期は、地層の変形が北武断層の影響によるものとすれば、14C年代値によればC層堆積後B層堆積前であり、14C年代値によれば930〜750yBP以降、745〜575yBP以前と判断される。しかし地層の変形は他の地震動や地すべりなどの可能性もあり、その詳細については言及できなかった。断層の活動については、再来間隔等についての情報は得られなかった。
図7−7−1 完新世の地層の変形史(No.3地点)