ボーリング調査結果と既存ボーリング調査資料にから、基盤岩の分布深度を把握し、さらにトレンチ調査の結果を考慮して、河成堆積物基底面等高線図を作成した(図7−6−1)。本図には北東−南西方向に谷地形が認められる。谷の方向は全体としては北東−南西方向であるが、図中央付近では、西北西−東南東方向に変化している。この谷の方向の変化は、空中写真判読による北武断層の位置とほぼ一致しており、谷が右横ずれ活断層により屈曲したことを示しているものと考えられる。
本地点のトレンチ調査では断層を直接確認することはできなかった。しかし、北武断層推定位置、東側法面E14〜E17付近で、河成堆積物のC層、D層およびE層に地層の乱れ・変形などがみられた。これらの地層の乱れや変形は、地層が堆積した後に断層活動など何らかの影響を受けた可能性が強いと考えられるが、断層を確認していないためその詳細については言及できない。
(2)断層の活動性
@層、A層およびB層には、地層の変形や乱れはみられなかった。したがって、断層活動などによる影響を地層が受けたとしてもC層までと判断される。
各層の層厚と14C年代値の関係を図7−5−2に示している。層序と矛盾していると考えられる測定値を除外して考えれば、断層活動などにより変位を受けたD層下部の堆積年代は1400〜850yBP、最上位のC層の下部は840±90yBPとなる。変形を受けていないB層の堆積年代は不明である。また、A層下部の14C年代値は660±85yBPである。
このことから、地層が変形を受けた年代は、C層堆積後B層堆積前であり、14C年代値によれば840±90yBP以降、少なくとも660±85yBP以前と判断される。(この場合B層の年代値が不明なためA層下部の年代値を示した。)
断層の位置と同様、これらの地層の乱れや変形は、地層が堆積した後に断層活動など何らかの影響を受けた可能性が強いと考えられるが、断層を確認していないためその詳細については言及できない。地層の変形原因としては、北武断層活動、他の原因による地震動、なども考えられる。
断層活動による変位量や再来間隔等についての情報は得られなかった。