2−6−4 調査のまとめ

No.2調査地は、小田和川中流域で東方に流下する小田和川支流の左岸側で、丘陵地の裾部の旧崩壊地の末端部付近に位置している。小田和川支流沿いには、標高25〜40mの完新世の河成段丘が分布する。空中写真判読の結果から北武断層は、支流北側の丘陵地裾部に東南東−西北西方向へ連続して想定される。

調査地の地質は、丘陵地を構成する逗子層と丘陵裾部から低地の基盤をなす衣笠泥質オリストストロームからなり、両者は北武断層により接している。それらの上位に、低地部には河成堆積物が、丘陵裾部には崖錐性堆積物が分布する。

調査ボーリングは、4箇所で実施した。調査の結果確認された地質は、衣笠泥質オリストストローム(Km)ならびに逗子層(Zm)と、その上位に河成堆積物(ac)、崖錐性堆積物(dt)である。葉山層群と三浦層群との境界は、B2−3孔で位置にみられた。本位置に近接するB2−2、B2−3、B2−4のコア試料は割れ目が多く、所々で粘土化や鏡肌がみられ全体に破砕質であった。

本地点の北武断層位置は空中写真判読、地表踏査およびボーリング調査の結果から、各調査とも、いずれもほぼ同位置にその存在が推定される。調査結果から推定した北武断層の位置を図6−1−1に示した。

断層の活動性については、年代測定試料が局所的に分布する地層からしか得ていないため、近接したボーリング孔での地層の年代対比が困難で、地層の露出状況も悪く、また、他の鍵層も確認できなかったため、言及できず不明である。

年代測定ができた地層は、丘陵末端部、崖錐性堆積物下に局所的に分布するほぼ均質な黒色有機質粘土(黒泥)で、その上部では、1,950±150yBP、下部で2,910±180yBPが得られた。