(1)北武断層の位置・最新活動時期および再来間隔

トレンチ西側法面の最下段W28で、完新世河成堆積物のC層を切る断層を見出した。断層の走向は西南西〜東南東である。その位置は付図5−1および図5−5−4−1に示す。断層位置は、太田・山下(1992)の位置より南西へ約20mの地点である。断層破砕帯の幅は、東側法面の基盤岩側で厚さ5〜7mmの断層粘土を伴い、図5−5−1−2による破砕度Wの部分を強破砕帯とすると約3mとなる。

トレンチ南端で認められた断層の“切った覆われたの関係”および完新世河成堆積物の層序、14C年代などを考慮して、断層活動について述べる。東側法面では断層はC層を切ることはわかったが、それより新しい地層を切っているかどうかは不明であった。しかし、西側法面の観察の結果、 断層は明らかに完新世河成堆積物のC層(1700〜1400yBP)を切り、C層より新期の地層であるB層(1300〜1200yBP)を切っていない。 したがって、断層活動はC層堆積後、B層堆積前すなわち、1400〜1300−1200yBPである。

本地点で確認された断層活動はこの1回なので、1400〜1300−1200yBP が最新活動時期であり、再来間隔は不明である。なお、完新世河成堆積物を切っているので、活断層としての確実度は活断層研究会(1991)の区分に従うと、Tで活断層としての存在が確実となった。