9−3−2 活動する範囲(長さ)

国府津−松田断層の長さについて検討する。国府津−松田断層の北端は大井松田インター付近までの長さ約9kmである。そのさきは西に方向を転じ、松田北断層(長さ4.5km)に連続する。松田かなん沢地点の調査では松田北断層は2000年前以降に活動していないので、国府津−松田断層の北端は大井松田インター付近とみなされる。ただし、松田かなん沢地点の断層と平行する松田北断層が存在する可能性があるので、国府津−松田断層が松田北断層の西端まで連続することも考えられる。その場合、北端は山北町向原付近となり、国府津までの長さは約13.5kmである。

さらに北西の日向断層(徐,1995)や平山断層(Ito et al.,1987)は御殿場泥流(約2600年前)に覆われており、曽我原で確認された断層活動1(650〜900年前)、断層活動2(約2000年前)には活動していない。しかし、これらの断層は更新世後期〜完新世に活動しており、曽我原の断層活動3(約2600年前)や断層活動4(2600〜4000年前)で活動しなかった証拠はない。たとえば、平山断層では2670〜2740y.B.P.の断層活動が報告されている(Ito et al.,1987)。そこで、最大限に国府津−松田断層の範囲を考えれば、国府津−松田断層、松田北断層、日向断層、平山断層の北半部を一連の断層とみなす(図9−1)。その長さは国府津から山北町平山の断層露頭付近までの約16kmである。また、国府津−松田断層の南延長は相模湾海底に至るが、海底についての調査は行っていない。国府津−松田断層の長さは16km以上である。