9−2 従来、知られているその他の現象との対応

水野・山崎(1997)は国府津−松田断層のトレンチ調査から約3000年前以降に小断層、地すべりなどのイベントを記載している。また、上本・上杉(1998,1999)は国府津−松田断層周辺の遺跡調査から、約5000年前以降に5回の地震痕跡を記載している。これらのイベントは強震動が過去にあったことや他の原因による可能性を示していて、国府津−松田断層の活動を直接示すものではない。

大磯丘陵の完新世海成段丘も国府津−松田断層の活動によって形成された可能性が指摘されていた(太田ほか,1982など)。完新世段丘のうち、最低位の段丘の時代は約1000年前で年代測定誤差を考えると国府津−松田断層の最新活動年代と矛盾していない。しかし、完新世海成段丘の形成間隔は6000年に3回と今回の調査で得られた国府津−松田断層の活動間隔より長い。したがって、完新世海成段丘の成因についてはさらに調査が必要である。