9−1−1 最新活動

昨年度の曽我原第1トレンチ調査で明らかになった国府津−松田断層の最新活動時期はAD1100年〜AD1350年頃(650〜900年前)である。最新活動は、第1トレンチでC層を切りB層に覆われていることから認定できる。この最新活動時期を、宇佐美(1996)が示した歴史地震の記録と対照させると、AD1257年の関東南部の地震(M=7.0〜7.5)とAD1293年の鎌倉の地震(M≒7.0)の二つが見出せる。しかし、現段階では最新活動と歴史地震との関係は特定できない。

最新活動の変位量はC層あるいはD層の落差で示されるはずであるが、これらの地層は断層隆起側には分布しないので上下変位量を正確には求め難い。そこでトレンチの地形断面の高度差、1.6mを最新活動による上下変位量の近似値として採用する。しかし、この値はトレンチ付近で認められた値であるから、逆断層による幅の広い部分での変形を考えると大きくなる。