7−1 調査目的と調査位置

松田かなん沢地点では松田北断層の最新活動時期、単位変位量等を明らかにするため、ピットおよびボーリング調査を行った。松田北断層についてはこれまでに断層露頭などの直接的な証拠は報告されていないが、山崎・町田(1981)は山麓の扇状地性堆積物である松田礫層が段丘化していることから、その前面に松田北断層を想定している。松田北断層は松田町の松田惣領から山北町の東山北駅付近にかけて示されている(宮内ほか,1996b)。今年度の調査で米軍空中写真を用いて判読を行ったことにより、松田町かなん沢に山麓の沖積錐(小型の扇状地)を横切る鮮明な低断層崖が発見された。そこで、ピットとボーリング調査は低断層崖が沖積錐に覆われる箇所で実施した(図7−1)。

ピット規模は長さ6.2m、深さ3.5mである。ボーリングはMS−1〜MS−6の計6孔を掘削した。