5−2 谷津A地点でみられた地層の層序

ピットのスケッチおよび写真を図5−4に、ボーリング調査結果から作成した地質断面を図5−2に示す。谷津A地点の地形は段丘化した扇状地のように見える。しかし、ピットの壁面と隆起側のYA−1孔では、深度5mまで分級の悪い砂礫層とそれを覆う火山灰質砂礫・シルト層が観察されたのみで段丘を構成するような円磨された礫層は認められなかった。一方、低下側のYA−2孔の下部:深度6mでは分級の悪い砂礫層に覆われた円礫層がみられる。円礫層を覆う堆積物はマトリクスが粘土質で礫が円磨されておらず分級が悪いことから、地すべりによる崩積物の可能性が高いと考えられる(図5−5)。

谷津A地点では河成礫層を覆って、分級の悪い砂礫・シルトが堆積しており、その14C年代はYA−1孔の深度2.7mにある腐植は3810±40y.B.P.、YA−2孔の深度2.2mにある腐植は5940±40y.B.P.である。ピット、ボーリングの調査結果では積極的な断層変位は認めにくいが、地形的には撓曲崖状の凸形斜面が存在し、その鉛直変位量は約3.5mである(図5−2)。その地形を作る堆積物の年代は約3810〜5900年前である。