G及びG’地点を通るリニアメントは、比高約2mの崖とその前後の撓みからなり、北北西−南南東方向に連続する。リニアメントは扇状地や崖錐の上に明瞭に連続してみられ、断層による変位と考えられる。
予備トレンチは完新世と予想される崖錐地形の上にあり、これを変形させる撓み斜面の基部で掘削した。予備トレンチの掘削規模は、長さ6m、幅0.6m、深さ1.5m〜2mである。
予備トレンチの写真を写真−補1(写真4−1)に、予備トレンチ壁面のスケッチを図−補1(付図1)に示す。
上位から順に現在のアスファルト、層厚約30cm〜40cmの盛土、層厚約10cm〜20cmの礫混じり腐植質シルト層がみられる。この礫混じり腐植質シルト層は、付近の住民の聞き取りから、昭和30年代の表土であることが確認された。さらにその下位には、腐植質な暗褐色礫混じりシルト質砂層と礫層・砂質シルト層がみられる。最下位層の礫層(泥岩、砂岩起源のものを主体とする)・砂質シルト層は崖錐地形の構成層の一部と考えられる。この礫層・砂質シルト層は現在の農道の傾斜と比較して、やや急な西傾斜を示し、撓曲構造の一部である可能性もある。また、この上位の腐植質砂層は約15°で西傾斜し、斜面下方に向かって層厚が厚くなる。この構造は礫層・砂質シルト層が断層活動により傾斜し、礫混じりシルト質砂層がアバットしている可能性もある。しかし、礫混じりシルト質砂層のすぐ上が昭和30年代の表土であることから、人工改変の可能性もあり断定はできない。さらに下位の地質構造を確認する必要がある。