2−3 考古学調査に関する文献調査

上本・上杉(1998)は小田原市千代台地の遺跡にみられる地割れ、断層から国府津−松田断層の最新活動について議論している(表2−2)。これによると地震発生時期は@約5000年前、A2800〜3000年前、B2500〜2300年前、C約1500年前、D西暦1853年(約150年前)の可能性が指摘されている。ここではその根拠となった発掘報告にあたり、その可能性を検討する。

千代台地を含む足柄平野南部には多くの遺跡が存在する。代表的なものとして長塚遺跡、下曽我遺跡、千代仲ノ町遺跡、千代遺跡、曽我谷津遺跡、高田遺跡、中里遺跡、三ツ俣遺跡、町畑遺跡などである(図2−25)。これらのなかで千代遺跡に属する千代南原遺跡第Z地点B、C、D地区では断層が報告されている(小田原市千代南原遺跡第Z地点発掘調査団,2000)。下曽我遺跡(小田原市教育委員会,2001)と高田宮町あるいは高田北之前遺跡(小田原市教育委員会,1999)の断層、地割れについては小田原市教育委員会の発表要旨では確認できなかった。これらの他に千代東町遺跡で断層、地割れが報告されている(小田原市教育委員会,2001)。また、三ツ俣遺跡では弥生中期の遺構が低い位置に報告されている(神奈川県立埋蔵文化財センター,1986)。