6−9 三浦半島北断層群の評価

三浦半島北断層群は衣笠断層13km、北武断層12.5km、武山断層9km以上と、10km〜15kmの長さをもつ。活動度はA〜B 級、最新活動時期も新しく、それぞれ1,000年前から2,200年前と報告されている。

太田(1999)は衣笠断層、北武断層、武山断層は互いに平行し距離も近いので、1つの断層帯として扱われるべきとし、活動の再来間隔も個々でみるよりもずっと短くなると指摘している。また、杉村(1974)、太田ほか(1982)および太田(1999)ではこれら3断層の活動はプレート境界である相模トラフ、あるいは国府津・松田断層の活動と連動している可能性が指摘されている。

ここでは三浦半島の断層群が収斂している場合、それぞれが独立している場合の評価を行うことにする(表6−2)。三浦半島北断層群の個々の断層を独立して評価した場合、最新活動時期と平均活動間隔を考慮すれば,衣笠断層は次の活動までに数千年以上の時間があると推定される。ところが、北武断層と武山断層はいずれも、平均活動間隔に匹敵する時間が最新活動時期以後に経過しており、近い将来に活動が起こる可能性がある。これに対し、3断層が収斂していると考えた場合には活動間隔がさらに短くなり、近い将来に活動が起こる可能性が大きくなる。「収斂している断層」では最近5,000年間に衣笠断層で1回、北武断層で2回、武山断層で2回の計5回の断層活動が知られている。これらのうち複数の断層が同時に活動した可能性も否定できないので、活動回数を3〜5回とすれば、「収斂している断層」の平均活動間隔は1,000〜1,600年となる。

想定される地震規模としては、衣笠断層でM6.7、北武断層でM6.7、武山断層でM6.7〜7.2である。「収斂している断層」の場合でも断層長は最大20kmとなり、地震規模はM7.0〜7.2程度と推定される。