6−8 地下構造と各断層の相互関係
横ずれ断層帯が発達する地域では、地表にみられる断層群は地下に向かって主断層に収斂してゆくことが知られている。衣笠断層、北武断層、武山断層、南下浦断層、引橋断層はほぼ同走向で近接する右横ずれ断層であり、それらの変位様式は類似する。したがって、これらの断層群は杉村(1973)が図示したように地下深部で同一の断層に収斂しプレート境界につながっている可能性を指摘できる。太田(1999)で示されたように、衣笠断層、北武断層、武山断層の3断層は断層間の距離が近く、一つの断層に収斂する可能性がある。上記の可能性を検証するために、三浦半島北断層群について、深さ2,000m程度までを対象とした反射法地震探査を行った。その結果、北武断層と武山断層は識別され、ともに北傾斜で深部に向かってやや緩傾斜となる傾向があるが、それらが地下深部で収斂するかどうかを確認することはできなかった。衣笠断層はあまり明瞭でない。これらの断層が地下で収斂している可能性を検討するためには、より深部の調査が必要である。