E2層は地すべりブロックであり、初声層および宮田層が形成する谷壁を越えて分布することはない。このことから、上盤側のE2層が侵食によって削除されたとしても、現在埋没している初声層の谷壁位置が推定できれば、変位量はその谷壁と下盤側谷壁(E2層の分布限界)の差をもって、変位量の最大値として評価できる。
トレンチの西側法面で実施した断層追跡溝および水平ボーリングから、標高19m付近における下盤側のE2層の西側分布限界(図5−2、図5−3の@)と上盤側の埋没した初声層の谷壁位置(図5−2、図5−3の@’)を推定した。その結果、断層を境してのE2層の分布は、水平(断層走向)方向の食い違いが2m程度あることが明らかとなった。この食い違い量は、上下変位がなく、活動回数が1回と仮定した場合、単位変位量の近似値として扱える。