南下浦断層は右横ずれと南上りの成分をもつ(太田ほか,1982など)。横ずれについては年代が明らかな変位基準がないため正確には決められないが、太田ほか(1982)は三崎面を開析する谷の右ずれ量50mから平均変位速度として0.8m/1000yを算出している。この値は当時の段丘年代観(6万年前)によるもので、最近の三崎面の年代(8万年前)で再計算すると0.6m/1000yとなる。
上下成分について、垣見ほか(1971)は宮田層(更新世中期)、三崎砂礫層、東京軽石、立川ローム層基底の変位量を記載し、それぞれから0.03〜0.3mm/yという上下成分の平均変位速度を求めている。地質分布からみると南下浦断層は南側の三浦層群初声層と北側の宮田層とを境しており、その変位は南上りである。松島(1976)、垣見ほか(1971)などによれば、南下浦断層の変位様式は第四紀中期頃に北上りから現在の南上り・右ずれになったと言われる。南下浦断層の活動度は右横ずれ主体のB〜C級と推定されている(太田ほか,1982;活断層研究会,1991)。