4−7 調査結果

得られたマイグレーション深度断面図に対して、図4−1図4−2に示した地質図・構造図を参照しながら解釈を試みた。

解釈のために、表層構造図・活断層位置および測線位置図を合わせて示した総合断面図を図4−17に示す。

この図に対して活断層の地下状況の解釈を加えた図が図4−18である。

今回の調査の結果、以下のことが判明した。

@タイムターム法による表層構造図(図4−10)を参照すると、測線北東端(受振点1)から受振点100にかけての部分で、表層(沖積層に相当)の厚さが最大約70m(表層速度1200m/sを仮定した場合)と厚くなっている。この他の部分でも、表層の厚さは10〜60mと変化に富む。衣笠断層、武山断層に相当する位置に、垂直変位を伴う断層らしき構造が見られる。

A速度解析の結果(図4−12)、あるいは重合速度構造図(図4−13)によると、区間速度は表層基底層でほぼ2km/sであり、深度とともに増加し、三浦層群・葉山層群相当層では3〜4 km/s程度になっている。区間速度は測線南西方向の浅部(地表よりおよそ1000mまで)でいくらか遅くなる傾向が見られる。

B地表から深度約2000mまでの反射面を認めるができる。地表から深度500mぐらいまでの反射面は多くが南西方向に傾斜している。ただし、部分的には反対方向の傾斜も見られ、構造が複雑であることを示している。

C深度500mぐらいまでの反射面は、測線上の場所によって低周波数が卓越する部分、高周波数が卓越する部分に分類可能であり、これが地質と対応していると考えられる。

D500m以深の反射面は、比較的平坦であり、測線中央部深度700m付近には、やや南西傾斜の反射面がみられる。また、測線北東端の深度約1300mにやや北東傾斜の反射面が見られる。

E北武断層・武山断層に対応する断層面が識別された。両断層は、北傾斜で深度とともに緩傾斜になりながら、深度約2000mまでほぼ平行に続いている。

F北武断層および武山断層はともに北傾斜の断層と判断される。

G衣笠断層の南東延長部分が、ほぼ推定位置に存在する。また、この部分から北武断層までの間にも推定活断層の位置付近に断層が見られる。