西側のり面で行った断層追跡溝における変形は,トレンチのり面で見られる変形とは異なっている。断層追跡溝における宮田層の変形は,トレンチのり面に比べ著しい。
断層に近接する宮田層は,断層に調和的なせん断面によって数cmオーダーで切られており,宮田層のシルト層は階段状の変形構造を示している。変形した層理面は約60°の北傾斜を示す。したがって,断層に近接する宮田層は,せん断によって地層が切られると同時に,断層沿いに引きずり変形を生じたと考えられる。宮田層の変形状況は,blB−2孔のボーリングコアの性状と一致している。
初声層の変形はトレンチ壁面で認められたものと同様であり,初声層は断層沿いに約10cm以下の幅で破砕している。断層から離れるにしたがって,初声層の変形は不明瞭となっている。