(3)地形・地質調査のまとめ

(1) 南下浦断層

南下浦断層においては,現在でも断層露頭,断層変位地形などを確認することができる。しかし,近年の土地造成により,かつて確認された断層露頭が失われている地点も認められる。

調査の結果,既存の調査研究で示された南下浦断層の位置を変更するような,新たな地形地質情報は得られなかった。南下浦断層の位置は,断層変位地形,現存する断層露頭や既存報告の埋没断層崖などに基づいて,現在でもほぼ詳細な位置が特定できる。

(2) 引橋断層

断層変位地形は確認できるが,断層に関わる地質情報は得ることができない。これは,引橋断層沿いの断層露頭が少ないこと,断層中央部の地溝周辺の露頭が土地造成により失われたことによる。

調査の結果,引橋断層の位置を特定できるような新たな情報は得ることができなかった。したがって,引橋断層の位置の特定は,今後の調査でより明らかにしていく必要がある。しかし,断層露頭が少ないこと,断層に伴う初声層の地質構造の変化が明瞭でないことなどが,地形地質踏査での情報収集を困難にしている。今後は,地質精査や物理探査等により引橋断層を複数箇所で特定し,引橋断層の詳細位置を明らかにしていく必要がある。