長瀬ほか(1996)の記載した断層露頭の写真では、腐植層と礫層とが急傾斜する(ほぼ直立してみえる)断層によって接している。そこで、腐植層の不連続を断層位置と考え、3本のボーリング調査によってこれを確認しトレンチ位置を決定した。
採取したボーリング地質図(1:100)を図30に示す。これらのコアについて盛土以下に上位より番号を付した。B−1コアの地層は1−1〜1−5に、B−2コアでは2−1〜2−3に、B−3コアでは3−1〜3−3に区分した。それぞれについて観察された地層の層相を、次に示す。なお、色調は土色帳による。
盛土層:暗褐色〜灰オリーブ色を呈する亜角礫層である。マトリックスはシルトであるがルーズで、全般的に不均質である。B−2、B−3では層厚約3mであるが,B−1では層厚1mである。
B−1
1−1(B−1,GL−1.00〜−2.22m):暗褐色〜黒褐色を呈する。全般的に砂質シルトであるが、下部(GL−8.86〜−2.05m)には淘汰の良い細砂層が挟まる。
1−2(B−1,GL−2.22〜−5.40m):黒色〜オリーブ灰色を呈し、細礫まじりの有機質シルト〜シルト質砂、シルト質細砂、大礫サイズの亜円礫を含む砂礫層より構成される。またGL−2.60〜−2.88mの砂層およびGL−4.60〜−4.93mのシルト質砂層には、逆グレーディングが見られる。
1−3(B−1,GL−5.40〜−6.80m):暗褐色〜灰オリーブ色あるいは暗緑灰色の、砂礫層とシルト質砂層との互層である。礫層は中礫主体の亜角礫でまれに大礫が含まれる。マトリックスはシルトまたは砂で、全般的にルーズである。
1−4(B−1,GL−6.80〜8.32m):有機質シルト層で、細礫が混じる。
1−5(B−1,GL−8.32m〜):中礫〜大礫の亜角〜亜円礫で、マトリックスは灰オリーブ色を呈するシルトまたは砂である。
B−2
2−1(B−2,GL−2.77〜−6.20m):暗褐色〜灰オリーブ色あるいは暗緑灰色の、砂礫層とシルト質砂層との互層である。礫層は中礫主体の亜角礫で大礫が含まれるが、上部より下部の方が粒径が小さい傾向がある。マトリックスはシルトまたは砂で、全般的にルーズである。
2−2(B−2,GL−6.20〜−8.98m):黒色〜緑黒色を呈する有機質シルトと細砂の互層である。GL−6.61〜−6.90mには中礫主体の砂礫層が挟まれる。有機質シルト層には細礫まじりの部分と砂質の部分がある。
2−3(B−2,GL−8.98m〜):中礫〜大礫の亜角〜亜円礫でマトリックスは灰オリーブ色を呈するシルトまたは砂である。
B−3
3−1(B−3,GL−2.95〜−7.95m):暗褐色〜灰オリーブ色あるいは暗緑灰色の、砂礫層とシルト質砂層との互層である。礫層は中礫主体の亜角礫で大礫が含まれるが、上部より下部の方が粒径が小さい傾向がある。マトリックスはシルトまたは砂で、全般的にル−ズである。
3−2(B−3,GL−7.95〜−8.47m):有機質砂質シルト層である。
3−3(B−3,GL−8.47m〜):中礫〜大礫の亜角〜亜円礫で、マトリックスは灰オリーブ色を呈するシルトまたは砂である。
これらの地層のうち、B−1コアの<1−4>とB−2コアの<2−2>の有機質シルト層が対比されると考え、B−2とB−3コアの間に断層が存在するものと推定した。