このように、活断層の存在と変位様式の概要はすでに示されているが、変位の基準となる地形面についての十分な記述はなく、断層の活動に関する検討は乏しい。また、変位の累積性は示されているものの、隆起側と沈降側の地形面が同一であるかどうかの検討が不十分である。地形面の編年が不十分であると、活動度を算定することができない。このため、記述は定性的なものにとどまり、具体的な活動度については示されてこなかった。
また、どの活断層も撓曲変形やバルジ状の変形を示すので、垂直変位量は比較的長い測量断面をもとに比較する必要がある。しかしながら、これまでの研究では詳細な測量は実施されていない。撓曲変形の幅が広く変位量が小さい場合(すなわち若い撓曲崖)には、空中写真判読では認定することは困難であると予想される。したがって、断層の正確な位置や長さに関しても再検討する必要があると考えられる。
一方、断層活動に関する調査(最新活動期、再来周期、単位変位量)はこれまでになされておらず、これらに関するデータはない。長期的な防災計画を考える上では、将来起こり得る断層活動の時期、規模を把握することは重要な課題である。