基盤岩類が形成する盆地状構造を埋積している堆積物は、主に丹沢山地から流出する各河川により搬出された砂礫と箱根火山、富士火山起源の火山噴出物で、電気探査の結果からの厚さは最も厚いところで150mを越えている。これらの堆積物に介在される鍵層としてTP(東京軽石)、TPfl(東京軽石流)、AT(姶良丹沢火山灰)などが確認されている。
秦野地区ボーリング柱状図により、堆積年代の異なる砂礫層や広域テフラの識別が可能であり、主要テフラについて上杉ほか(1980)のテフラ層序に基づき同定がなされてる(表6)。その結果に基づいて断面図を描くと図7、図8のとおりである。図7は北西−南東、図8は北東−南西方向の地質断面で、秦野断層の動きが示されている。渋沢断層の南側の金目川の沖積層河床礫層下底面は、河川の傾斜とは逆に南から北に傾斜していて、大磯丘陵の完新世における傾動を示している。
表6 ボーリング資料のテフラの層厚による地層の識別