なお本調査地域南方に分布する国府津−松田断層は、北傾斜の高角の逆断層と推定されている(笠原ほか,1991)。一方、渋沢断層は、南に傾斜した逆断層である(上杉ほか,1982)。これら二つの断層に直交する地質断面図(図4)から明らかなように、国府津−松田断層と渋沢断層は、上部地殻の浅層部で交差することになる。国府津−松田断層はプレート境界と考えられることから、地殻全体を断ち切るものと推定される。また、相模トラフへの連続も考慮すると総延長は60km以上と推定される。これに比べて渋沢断層の長さは6.5kmと短く、断面図において国府津−松田断層と交差する部分より、渋沢断層が地下深部に延長される可能性は極めて小さい。こうした地下における断面図の形状から推定して、渋沢断層は大局的には国府津−松田断層から派生した二次的な断層と理解することもでき、渋沢断層の独自で地震を発生させる場合よりは、主断層である国府津−松田断層の活動と連動している可能性が高いと推定される。