(4)活動性
平均変位速度と活動度:両断層系はともに盆地と周辺との地形境界をなす重要な断層である.しかし,断層両側に同一年代の段丘面があることが少ないので変位量を正確に捉えることはできない.また同一年代の段丘面があったとしても,撓曲変形や逆傾斜があるために正確な変位量も求めにくい.表1−6には,断面測量 (断面) または大縮尺地図からの断面図作成 (そのほかの断面;石和,1997ms) によって得られた変位量,変位速度から平均変位速度と活動度を示した.盆地側低下の活断層はすべて,鉛直方向に0.2〜1mm/年以上とB級ないしはA級の活動度をもち,逆断層としては,日本のほかの主要な地形境界逆断層とほぼ同じかまたはそれ以上の活動度を示す.このように,長さが短いにもかかわらず高い活動性を示すのが,秦野盆地の活断層の特色である.秦野・渋沢両断層系が独自に動くのか,国府津−松田断層の活動と関連するのか,そして後者の場合にはどの程度の関連性をもつかなど,残された問題は大きい.