(1)地形地質調査結果による活断層の性状及びその根拠

空中写真判読と現地調査に基づいて秦野断層系と渋沢断層系に属する計7つの断層位置を明らかにした (付図).すべての断層は縦ずれ変位を示し,撓曲崖,逆傾斜,山側が下がる副断層などの特色は,これらが圧縮の下で形成されたかなり低角な逆断層であることを示唆している.また,ほとんどの断層で,古い段丘面ほど変位量が大きいという変位の累積性が認められる (表1−6).しかし,撓曲崖の両側に同じ年代の段丘面が見られることが少ないので,真の上下変位量は求めがたい.また低角逆断層であることを考えるとネットスリップはさらに大きくなるはずである.いずれにせよ本地域の活断層のうちでは,秦野断層の活動度は確実にA級となる.現段階では断層の活動間隔の資料はないものの,今後地震を発生させる可能性は大きい.しかし,下宿断層は秦野断層に付随する副次的な断層で,活動度もC級と小さく,これ自体が地震を起こす可能性は小さい.渋沢断層系の活動度はBないしA級で,これも注意を要する活断層であろう.得られた情報をまとめたのが表1−6である.

表1−6.活断層資料表

図1−20.詳細調査候補地点を示す図