狩野ほか (1984) により,秦野盆地及び周辺地域には3系統の断層群が確認されている.佐藤 (1976) ・角田 (1997) は,神縄断層が東西方向かそれに近い走向を持ち,基盤 (先第四系) を切る断層であるとしている.大塚 (1929) は渋沢断層を地質図に示し,大塚 (1930) は,この断層線上南側に多数の裁頭谷が並ぶことから,新しい地質時代にも活動したと推定した.花井 (1934) は,秦野断層の露頭記載を行い,Kaneko (1971) は地形学的な検討を加えた.内田ほか (1981) は,テフラ層序学に基づき秦野断層の本格的調査を実施し,地層の変形と定量的な傾動率を明らかにした.
活断層研究会 (1991) は,1991年までの研究成果を総括し,秦野・渋沢両活断層を図示するとともに,変位様式等に関する資料を提示している.これによると,両活断層とも累積的な変位を示し,秦野断層は低角な逆断層であり,秦野断層に沿って山側への逆傾斜や撓曲崖が形成されている.また,宮内ほか (1996) は,秦野断層・渋沢断層に加えて新たな変動地形を認定し,それらを25,000分の1地形図に図示している.
長瀬ほか (1996) は,秦野盆地南東縁部,上大槻の金目川河川敷において,沖積層を切る渋沢断層の断層露頭を報告している.これによると,渋沢断層は約2,580 yBPの礫層を切り,より新しい礫層に覆われている.