3−2−1 「活断層詳細図」(分布と根拠)

伊勢原断層の断層線を表示し、断層運動の認定根拠となった断層変位地形や地層の変位量等の情報をもりこんで、付図6「活断層詳細図(1/25,000)」を作成した。

同図には沖積低地と更新世後期の4つの地形面(立川面・武蔵野面・下末吉面・多摩面)を表示した。地形面の区分は付図2「地形分類図」と共通である。地質区分では、新第三紀の地層を一括して”Tr”と表示し、簡略化した(正確には調査地南端部の鷹取山層は第四紀前期更新世に及ぶが、これも含めた)。

断層は活断層のみとし、活断層でない基盤岩中の古い断層は除外した。活断層は以下の区分とした。

表3−2−1 活断層の区分

このうち、“活断層(位置やや不明確)”は、かなりの精度で位置が特定できており、1/200,000程度の地形図に表現するには問題ないが、1/25,000地形図上に表示するにはやや不明確なものをさし、「確実度T〜U」と考えられる。

図面では明確な活断層を実線とし、低断層崖等から変位の向きが明らかな箇所にのみ、落下側に短線(ケバ)を付けた。調査の結果、平野の地下に活断層の存在が確実である場合は、伏在部と表示した。また、地層の撓曲変形によって形成された地形は、地層の傾動も含めて撓曲崖と表示した。

付図6には、活断層と判定した根拠となる事項を囲み記事として記入した(撓曲地形・低断層崖の有無、変位量、最新活動時期等)。後で述べるように、伊勢原断層は必ずしも一本の断層線として地表に現れるわけではなく、むしろ、地表に現れない幅広い変形帯の場合もあり、ボーリング調査や浅層反射法探査の結果により、ある程度変形帯の幅が特定できる地域についてはその範囲を”断層変形帯”と表現した。調査地南部の岡崎や北金目地区がこれに該当する。図面中では、断層変形帯の中でも最も変位が大きいと推定される部分を一点鎖線で表示した。

なお、活断層線は、他の付図2「地形分類図」や付図3「地質平面図」にも共通に表示した。