表層部は盛土・耕作土(水田)で、直下に宝永スコリア(細粒、軽石片を伴う)を挟む。深度1.5〜3m付近には、頻繁に砂礫層が分布するが連続性はよくない。これは最近の洪水時の堆積物とみられる(例えば1630AD頃の金目川洪水など)。以下、3〜8m付近は泥炭層や腐植土が発達し、シルトや細砂と互層している。B2−1ではさらに深く、約13mまで泥炭が発達する。さらに深部はシルト、粘土または砂礫層である。深度15m以深は、海成砂層でウミニナ等の貝殻を多数含む。海成層は層厚8mに及ぶ。これより以深は、調査地西端のB2−1では黒色古土壌(埋没段丘)、立川ローム層、立川礫層が続き、最下部では、粗粒軽石層を多数挟むローム層が確認された。下部ローム層は、層相から下末吉ローム層の中下部、KmP−2,1、Klp−13等とみられる。一方、調査地東端のB2−5では、ローム層ではなく、砂層、砂礫層が約13mと厚く堆積している(調査地東端は古い谷地形であった)。さらに最下部は埋没段丘らしき古土壌があるが、それ以深は不明である。なお、深度15m以深の礫層からは、大量に湧水し、自噴する(特にB2−5)。
このボーリング調査の結果で、注目すべきことは、大半のボーリング孔で深度5.5〜7m(標高8〜9m)付近の泥炭層中に層厚数o〜2pの白色火山灰の薄層が認められることである。火山灰は乳白色の軽石質細粒パウダー状で火山ガラスを含む。B2−5とB2−9では認められない。火山灰直下の腐植物の14C年代は3430±90yBPであった。
図2−4−16は、白色火山灰及びその上下のスコリア層を対比したものである。この図によると、白色火山灰層はB2−4〜B2−10の間でほぼ水平に近いが、B2−10〜B2−2間で41cm、B2−2〜B2−1間で53cm、計94cm西落ちの高度差を示している。また、その上下のスコリア層も同様に西落ちの傾向を示す。
完新世海成層上面は削剥され、礫層が堆積していることなどから緩い起伏があり、およそ標高−0.7〜+1.9mにある。完新世海成層と白色火山灰及びその下のスコリア層との間の層厚約4〜5mは、火山灰やスコリアなどの鍵層がない。B2−4〜B2−1間の深度1.5〜3m付近には、最近の洪水時の堆積物とみられる砂礫層が不整合で分布し、鍵層がないため堆積構造は不明である。
なお、これらのボーリング柱状図からは、直接、地質構造や変位量・変位速度を考察する事が困難であるため、詳細は第V章、1−8で述べる。
図2−4−15 ボーリング位置図<北金目地区>
図2−4−16 地層対比図<北金目地区>