解析結果として、時間断面図(重合断面)を図2−3−13、時間マイグレーション図を図2−3−14、深度断面図を図2−3−15に示す。また、地質資料による地層境界等の解釈を加えて作成した地質構造解釈図を図2−3−16に示す。
本地域のショット記録は、固定展開もしくは振り分け展開で行い、起震2m間隔、受振2m間隔で72〜100chのデータを取得している。なお最小・最大オフセットはそれぞれ0m、140mである。
本処理では、取得されたデータの初動が読み取りにくいため、屈折法的解析の風化層補正は行っていない。このことから、小さな反射面のずれ等は処理上での補正がされていない可能性があるため、構造解釈は全体的な構造について行う。
図2−3−16地質構造解釈図を西側から見ていくと、水平距離250m付近を境に断面の様相が異なる。水平距離30〜250mでは、標高−15m以浅では比較的明瞭な、ほぼ水平な反射面が認められる。標高−15m以深では振幅の大きな反射面はあまり認められないが、断続的な反射面が認められ、水平距離220m付近より東方に反りあがる形状を示す。水平距離250〜470mでは、標高−35〜−85mにおいて強振幅の緩く西に傾斜した反射面が認められるが、その他では明瞭な反射面に乏しい。反射断面によれば、伊勢原断層の南方への延長線上にあたる水平距離250m付近を境に、東側が隆起(西側が沈降)した構造を示す。
地質資料との対比により、地質境界を推定した。西側の標高−135m付近から撓曲しながら東側の標高−85mに続く反射面以深には、新第三紀層が分布し、西側では丹沢層群(Trt)が、東側では愛川層群(Tra)が分布するものと推定される。この上位に相模層群(SG)が分布し、その層厚は西側で厚く(約120m)、東側で薄い(約70m)。相模層群と沖積層の間に分布する武蔵野・立川ロームは、ボーリングでも5m程度の厚さであり、図中には表現していない。沖積層はボーリングによりその基底が確認されており、ボーリングと反射記録との整合性を考慮して推定した。反射記録上は西側では反射記録が明瞭で対比が容易であるが、東側では反射記録が不明瞭であったため精度が劣る。沖積層の層厚は全体に30m程度で、やや東側に厚い。
断層は、反射面のずれから4条の断層群が推定され、東傾斜約50〜60゜で東側上がりの逆断層構造を示す。新第三紀層と相模層群を大きく変形させていることから、これらの層準にはずれを伴った断層が発達していると考えられる。沖積層への影響は沖積層の厚さの変化があまり認められないことから、大きなずれをもった断層は発達していない可能性があり、この変位が地表まで達しているかどうかは不明である。相模層群の基底とその上位に破線で示した反射面の境界までがほぼ同じ厚さを示し、この部分が同層準と考えれば、断層運動は早くても相模層群の基底部(50m程度)の堆積時より後に始まったとの解釈もできる。
図2−3−12 探査測線位置図(S−2)
図2−3−13 時間断面図(重合断面)(S−2)
図2−3−14 時間マイグレーション図(S−2)
図2−3−15 深度断面図(S−2)
図2−3−16 地質構造解釈図(S−2)
<断層>
F :推定断層(破線は不明瞭)
<地質>
A :沖積層
Sg :相模層群
Tra:愛川層群
Trt:丹沢層群