今回の地質精査では表層に立川ローム層、武蔵野ローム層が厚く覆っているために、下末吉ローム層は確認できなかった。
武蔵野ローム層中には亀裂や小断層が発達し、その一部は立川ローム層まで達している(巻末資料2−@:SH−1、SH−2)。これらの亀裂や小断層は東西方向から南北方向のものまで様々で、伊勢原断層との関係は不明であるが、いずれにしても強い地震動や、近傍の断層変位に関連して形成されたものと推定される。地質平面図を図2−2−10に、地形・地質断面図を図2−2−11に示した。
本地区では、地質精査のほかにジオプローブ調査,平面・水準測量を行った。
<F−F´断面>
松田ほか(1988)31)により実施されたボーリングによる地下調査の成果をとりまとめたものである。この調査結果の考察についてはその概要を「T−1−2 既存文献調査結果」で記してある。なお、断層東側の埋没段丘面下には、断層に近い側から立川ローム層、下末吉ロームおよび多摩ローム層(早田ローム層)の分布が確認されており、松田ほか(1988)31)は「これらのテフラ層が互いに断層で接しているか否かは、今回確認できなかったが、このこは、完新世の活動以前にも、西落ちの活動があったことを示唆している」と報告している。
<G−G´断面>
松田ほか(1988)31)のK0207−31ボーリングと近くの既存ボーリングによるものであるが、完新世海成層の上限に、F−F´断面と同様に断層の東側の方が約 1.5m高い高度差が認められる。
なお、上記の断面図に示した活断層(AF)は断面図の説明上便宜的に書いたものであり、必ずしも正確な位置や上限、傾斜を表すものではない。断面図を作成した場所は平坦で地形的な手がかりが少なく、ボーリング資料だけからでは正確な断層の位置や傾斜等を特定することが困難であるが、断層位置をある程度まで限定できる場合は図に表示した。
図2−2−10 地質平面図(平塚市岡崎(駒形神社)地区)
図2−2−11 地形・地質断面図(F・G断面)