伊勢原断層は、花井(1934)5)によって命名された活断層で、村井・金子(1976)40)、活断層研究会(1991)19)、東郷ほか(1996)52)に図示されているほか、地質学的な研究として今永ほか(1982)8)、松田ほか(1988)31)がある。今永ほか(1982)8)は、ボーリングを掘削した資料にもとづき、断層の両側で3.48mの落差(東側の隆起)を確認し、また、下末吉層は沖積低地部と伊勢原台地の間で伊勢原断層をはさんで32mの落差(東側の隆起)があり、垂直方向の変位量が0.25m/千年としている。松田ほか(1988)31)は、ボーリング(4孔)調査を実施した結果、完新世海成層上面から上位のテフラを鍵層として断層両側で1.6±0.6mの落差を確認した。また、最終活動時期を延暦・貞観期のテフラ堆積以後、宝永期テフラ堆積以前であるとし、この地震を元慶2年(西暦878年)の相模・武蔵の地震(理科年表M 7.4)であると推定している。