4−3−2 鍋野川左岸地点のボーリング調査結果

鍋野川左岸には, 比較的広い低地が分布しており,この低地下に断層が存在する可能性があることから,基盤中の断層と低地を構成する堆積物との関係を明らかにして,最新活動時期等の活動履歴を解明することを目的に,ボーリング調査を実施した(図4−30図4−36)。本地点におけるボーリング調査結果を図4−37に示す。

本地点には, 基盤の四万十層群及びそれを覆って, 下位から埋没段丘礫層, 入戸火砕流堆積物, 同火砕流二次堆積物等が分布する。

基盤の四万十層群には, 幅の広い破砕部は確認されないものの, NB−7孔で破砕幅の狭い断層が確認され, その上方延長部で, 埋没段丘礫層及び入戸火砕流堆積物基底面に, いずれも北西落ち約9mの鉛直変位が推定された。ただし, 断層の両側に分布する埋没段丘堆積物が同一段丘堆積物か否かについてはデータがないこと, 入戸火砕流堆積物が崖地形を埋めて堆積したことも考えられることから, この変位量は確実なものとは言えない。

なお, 本地点において, トレンチ調査を計画し, 試掘を試みたが, 大量の湧水のため, 掘削を断念した。