4−3−1 鍋野川左岸測線における反射探査結果

鍋野川左岸地点は,宇都野々セグメントのうち地形的に最も明瞭な部分を横断している(図4−30)。

このことから, 断層を挟んで広い範囲における地質構造を明らかにすることを目的に,鍋野川沿いの国道 328号線でP波による反射探査を実施した(図4−30)。探査の測線長は約 1.6kmである。

反射探査においては, 震源に油圧インパクターを使用し,受振点・起振点間隔共に5m,収録チャンネル数は 120chとした。探査により得られたデータを処理した重合後の時間断面を図4−31に,マイグレーション後の時間断面を図4−32に,深度断面を図4−33−1図4−33−2に, 屈折法による速度解析結果を図4−34−1図4−34−2にまた, 反射断面の解釈図を図4−35に示す。

反射断面及び屈折法による速度分布から, CMP番号 330付近及び 420付近に断層の推定が可能である(図図4−33−1図4−33−2図4−34−1図4−34−2)。いずれも,断層面の傾斜が北西方向の比較的低角度な断層である。

CMP番号 330付近に推定される断層は, 反射パターン及びP波速度分布から, 北西側の肥薩火山岩類と南東側の四万十層群を境しているものと推定されるが, リニアメントの北方約300mに位置しており, 地形的に推定された出水断層帯とは位置が明らかに異なる。

CMP番号 430〜 420付近にも, 反射パターン及びP波の低速度帯から断層が推定され, その位置は概ねリニアメントの位置と一致している。