3−3−2 高尾野町内木場東地点の調査結果

本地点では,基盤中の断層とそれを覆う堆積物との関係を直接確認することを目的に,ボーリング調査及びトレンチ調査が実施されている(図3−3図3−5)。

ボーリング調査結果によると,最も南側で実施したUk−4孔において基盤の断層破砕部が確認され,Uk−4孔とその北約5mのUk−5孔との間において,堆積物基底面の高度に約1.5m北側が低い高度の不連続が認められた(図3−6)。

トレンチ調査結果によると,基盤中の断層がその上部を覆う堆積物に変位を与えていることが確認された(図3−7−1図3−7−2)。断層は,基盤中では幅の広い粘土破砕部を伴い,傾斜角が50°〜45°の断層面で堆積物と基盤とを境する比較的低角な正断層である。断層は,姶良Tn火山灰層起源のガラスを含む礫層(V層)まで変位を与え,アカホヤ火山灰層(約6300年前)起源のガラスを含む礫層(W層)に覆われていることが確認された。このことから,本地点における断層の最新活動時期は,約25000年前以降,約6300年前以前と推定された。

ただし,本トレンチにおける断層の形態は,一般的な活断層の形態とはかなり異なったものであり,地すべり等による構造の可能性も残された。