4−10−1 断層形態の解明
平成9年度及び平成10年度調査においては, その大部分の調査が, 出水断層帯が活断層であるか否か, 特に入戸火砕流堆積物に変位を与えているか否かを確認する目的で行われた。その理由は, 断層の形態の特異性にある。すなわち, 平成10年度の調査により,明らかとなった断層の形態は, 上方で低角化する正断層であり, この形態は,日本でこれまでにトレンチ調査等により明らかにされた活断層の形態とはかなり異なったものである。この断層形態が, 本断層帯の活動履歴等を明らかにすることを難しくしているものと考えられる。このことから,まず,「上方で低角化する正断層」の形態が出水断層帯の新しい活動における特徴であることを確実にする必要がある。このため, 出水断層帯の各セグメントの複数地点において, 断層の形態を詳細に把握すること, 平成10年度の調査では確認できていない基盤の断層と入戸火砕流堆積物内の断裂との直接の関係を確認することを目的に, 追加調査が実施されることを期待したい。