3−3−2 沖積層分布高度
甲突川沿いの既存ボーリングについては,「鹿児島市地盤図」(1995)により,地質断面図が作成されている(図3−6,図3−7)。これによると,四万十層群上限面の急傾斜部の直上において,沖積層基底面の高度は標高約−50mであり,ほぼ水平である。沖積層の最下部には火山灰層が挟在しており,同テフラは,その挟在層準等から桜島−薩摩火山灰層(Sz−S;1.05万年前,町田・新井,1992)に対比される可能性がある。甲突川河口から県庁を経て永田川河口に至る海岸線に分布する既存ボーリングについて,地質断面を作成した(図3−6,図3−8)。甲突川河口から県庁付近に至る間及び永田川河口付近においても,沖積層基底面は標高約−50mにあり,沖積層最下部に桜島−薩摩火山灰層に対比可能な火山灰層が挟在している。
以上のことから,陸域に断層が存在するとしても,沖積層基底面に変位を与えているものはないと推定される。