四万十層群上限面の等高線は大局的には NNE−SSW 走向を示し,狭長な隆起域・沈降域がこの方向で配列しており(図3−4),その直上を覆う照国火砕流堆積物も四万十層群上限面と調和的な分布を示す(図3−5)。
このことから,四万十層群上限面の隆起域・沈降域は照国火砕流堆積物堆積以降の構造運動により形成されたものである可能性がある。しかし,四万十層群上限面の隆起域・沈降域の単元はその長さが 5km程度であり,隆起域と沈降域との比高も200m程度であるが,傾斜は比較的緩く,少なくとも陸上部においては,地下に規模の大きい断層が存在する可能性は低い。
これに対して,甲突川河口から鴨池港にかけての海岸線に沿う区間では,四万十層群上限面は NNE−SSW 方向で東方に急傾斜を示し,この位置に断層が存在する可能性がある。この急傾斜部は鴨池港以南では海域に没し,その南方延長部は永田川河口から東方沖へ約 0.5km〜約1km に位置する。