3−2 平成10年度調査の方針と流れ

平成9年度調査結果を踏まえ,以下の観点から本年度の調査を実施した。

「九州の活構造図」(1989)及び新編「日本の活断層」(1991)によれば,前述のように,鹿児島湾西縁断層は,地形的に推定されたものではなく,基盤の四万十層群上面の高度差,すなわち四万十層群上面が東方に向かって急に深くなることから推定されたものである。以下,この内容の断層に「」を付けて示し,本調査では,この「鹿児島湾西縁断層」が調査対象となる。

平成9年度調査結果によると,「鹿児島湾西縁断層」については,大木ほか(1990)に示されている基盤(四万十層群)上面の急傾斜部に対応するものと推定され,その位置においては,「鹿児島市地盤図」(1995)によると,城山層及びそれ以上の地層には,断層変位を示唆する地層の分布,構造は認められていない。このことから,「鹿児島湾西縁断層」の後期更新世における活動の有無について,より精度の高いデータを得ること,さらに,断層が東方の海域に存在する可能性も考慮し,より広い範囲の地質構造を明らかにすることなどを目的に,調査を実施した。

平成10年度においては,「鹿児島湾西縁断層」に関する調査として,物理探査及びボーリング調査実施した。その流れを図3−3に示す。

調査に当たっては,物理探査及びボーリング調査に先立って,その最適測線・地点を検討するため,より広い範囲の地下地質を把握するため,既存ボーリング資料等の収集・解析を行った。

これらの解析結果に基づき,平成10年度の調査内容及び調査地点について検討を行った。