3−5−7 解析

三木町氷上宮下地点のボーリング調査によれば、LV段丘堆積物基底面の高度差1.5m、LV面の高度差約1.7mは1回の断層変位量で説明がつく。すなわち、当地点における長尾断層の単位変位量は1.5〜1.7mと判断される。

また、本段丘堆積物は、1回の断層変位しか受けていないため、本断層の堆積開始から終了時までの期間は、少なくとも活動間隔内にあると推定できる。

堆積物の14C年代測定によれば、断層変位を受けた地層は、地下3〜4mで29,730±600年〜28,540±1,200年、地下約1m以内で2,860±60年〜1,180±40年である。しかし、地表近くの試料による14C年代は若返りの可能性が高く、測定値をそのまま使用するには危険性を伴う。火山灰分析によれば、最新の断層面を水平に覆う堆積物からは、鬼界アカホヤ火山灰が産出する。表3−5−4から、当地点における長尾断層の活動は以下のようにまとめることができる。

(1)最新の活動時期 :鬼界アカホヤ火山灰堆積前(約6,300年前以前)

(2)1つ前の活動時期:約29,000年前以前

(3)単位変位量   :約1.5〜1.7m

表3−5−4 三木町氷上宮下地点における断層運動と堆積物の時代との関係