(1) 最新活動を示す長尾断層
最新活動を示す長尾断層は、東側壁面の指標番号のE3付近、西側壁面の指標番号のW2、3付近およびその延長部の底面にみられる、北側の段丘堆積層と南側の流紋岩との境界断層である(図3−5−6、図3−5−7、図3−5−8参照)。断層面の走向・傾斜は、東側壁面でN65°E・85°S、西側壁面でN84°E・63°Sをそれぞれ示す。断層の性状は南側隆起の逆断層で、東側壁面、西側壁面の段丘堆積物の堆積面は、上方に引きずられている。断層付近の流紋岩部は、30〜40cmの幅で粘土化している。なお、西側壁面の厚さ10cm前後の灰黄褐色シルト層が断層面を覆っているように見受けられるが、盛土である可能性が高い。
図3−5−6 断層付近のE面スケッチ
図3−5−7 断層付近のW面スケッチ
図3−5−8 断層付近の底面スケッチ
(2) 断層を覆う砂層
トレンチを西側に拡張した結果、最新活動を示す長尾断層を覆う砂層を確認した。この砂層は、幅約60cm、厚さ約5cmの火山灰質な細粒砂層で、断層面をチャネル状に覆っている。
図3−5−9 拡張部の壁面スケッチ
以上のことから、本トレンチでは、長尾断層の最新活動時期は、北側に分布する段丘堆積物の堆積後かつ拡張部にみられる砂層堆積前と考えられる。