(2)調査結果

調査結果の概要は以下の通りである。

1. 香東川沿いの調査地域は、地下から花崗岩、三豊層下部層(シルト層)、三豊層上部層(礫層)、段丘礫層、耕作土の順で地層が重なっている。地層の年代は、花崗岩が約1億年前、三豊層が約200〜100万年前、段丘礫層が約1万年前、耕作土が室町〜江戸時代である。

2. 長尾断層による花崗岩のずれは、約60mであることが確認された。また、その花崗岩には断層運動によって破壊された跡が幅広く残っていた。これは、長尾断層が古い地質時代(200万年前以前)から、たびたび地震を起こしながら動いていた痕跡である。

3. 花崗岩の上にのる三豊層(礫層)も長尾断層の活動によって、大きく曲げられていて、曲がり方の激しいところでは3条の断層面が見られた。これは、三豊層がまだ堆積したばかりで固まっていないときにも長尾断層が動いていたという証拠である。

4. 長尾断層は、約12万年前につくられた平坦面に食い違いを生じさせているが、トレンチ内に見られる約1万年前に堆積した段丘礫を切っていなかったので、少なくとも過去1万年間は大きな地震を起こしていないと考えられる。

5. 以下の各種物理探査によって、それぞれ次のことが判明した。

@CSAMT法 :地下深いところ(地表下400mまで)での長尾断層の位置

A浅層反射法       :断層の位置と花崗岩の深さ

B高密度電気探査法    :地下浅いところでの三豊層中の断層の位置、三豊層の変形、段丘礫層と三豊層の境界

C比抵抗トモグラフィー法 :断層によるずれの量、三豊層の変形、断層の位置

D弾性波トモグラフィー法 :三豊層の地層の重なり方

図3−1−7−2 電力中央研究所の長尾断層調査位置図(遠田ほか,1991)

図3−1−8 電力中央研究所によるトレンチ模式地質平面図(遠田ほか,1991)

図3−1−9 電力中央研究所によるボーリング調査に基づく地質平面図(遠田ほか,1991)