(2)地質概要

香東川河床では、風化した花崗岩を三豊層群基底のアルコーズ砂層が不整合に覆っている。不整合面は凹凸に富むが、5°前後北へ傾斜する。不整合面の上部にはアルコーズ砂層およびシルト層の互層が堆積し、長尾断層によって分布が断たれる。本層は、和泉層群の砕屑物を含まないことから、その当時は古香東川が流下しない花崗岩丘陵の縁辺部の堆積物と推定される。

一方、長尾断層の北側には、礫層が分布する。礫は主に和泉層群砂岩の亜円〜円礫からなり、クラストサポートされていることから、古香東川の扇状地堆積物と判断される。

なお、電力中央研究所(1991)によるボーリング調査によれば砂とシルトの互層の上に砂岩礫からなる礫層が整合的に堆積していることから、前者は三豊層群下部層、後者は同上部層である。

M面が広く分布する天福寺原には、M面を構成する堆積物は切土法面等に一部確認されるが、その層厚は数mと薄い。M面を開析する谷に露出する堆積物は、ほとんど全てが三豊層群上部層に対比される固結度の非常によい扇状地性礫層である。

LU、LV面を構成する堆積物は露出していないが、LU面を構成する堆積物からは、熊木ほか(1986)によって約1.8万年14C年代を示す材が報告されている。このため、LU段丘堆積物は、2万年前前後の堆積物と推定される。

また、電力中央研究所によるトレンチ調査では、LV面を構成する扇状地堆積物を覆うローム層〜鬼界−アカホヤ火山灰を産する。従ってLV段丘堆積物は、1万年前〜数千年前の堆積物と推定される。

リニアメント通過地点には、断層露頭はないが、リニアメント延長部の香東川河岸には、2ヶ所で断層露頭が確認される。

Na3では、三豊層群上部の礫層中に逆断層が観察される。断層面はN55°Eの走向で60°南傾斜である。

Na4では、三豊層群下部層の砂層−シルト層と三豊層群上部の礫層が逆断層で接している。断層面はN82°Wの走向で54°南傾斜である。また、断層の上盤側は30〜60mの幅で三豊層群が北へ傾斜する撓曲構造を形成し、下盤側も引きずりによって断層付近で北へ急傾斜している。

図3−1−1 香南町岡地点地形・地質分類図(1/2,500)

図3−1−2 香南町天福寺地点地形・地質分類図(1/2,500)