2−4−5 考察

@長尾測線(図2−4−24−1図2−4−24−2図2−4−24−3

<基盤岩>

基盤岩上面深度はCMP No.1〜580は−10〜−20m、CMP No.580〜750 は約−75mである。地表でCMP No.600 付近に明瞭な逆断層が認められ、基盤岩上面の落差は約65m、傾斜は約40度である。この断層による破砕帯は基盤岩内にも認められるが、反射記録はやや不自然である。すなわち、破砕部は低速度帯であるため負の位相が上盤側になるのが普通であるが、この記録では逆になっており解釈が難しい。

CMP No.160〜580の基盤岩上面は比較的平坦であるが、CMP No.1〜160の区間は基盤岩上面深度が15m程度浅くなる。CMP No.160付近の基盤岩には小さな破砕帯と推定される構造が認められ、No.1〜160の基盤岩の上昇もこれに関連する可能性がある。

またCMP No.490 付近に主断層と逆方向の小さな破砕帯が認められる。主断層の活動に伴う副次的な断層と考えられる。

<三豊層群>

CMP No.1〜610の表層部には明瞭な堆積構造は認められず、三豊層群は存在しない可能性が高い。CMP No.610〜790の三豊層群の上位には層厚12〜15m程度の表層部が認められる。この地層は下位の三豊層群に比べてP波速度が明らかに遅いこと、三豊層群上面に削剥された痕跡が認められること、などから三豊層群とは堆積年代の異なる新しい堆積層と考えられる。

CMP No.610〜640の三豊層群は断層運動により引きずり上げられている様子が認められ、特にCMP No.610 付近には三豊層群上面にも変位が認められる。したがって、この断層の活動は比較的新しい時代まで継続しているものと考えられる。

A 香南測線(図2−4−25−1図2−4−25−2図2−4−25−3

<基盤岩>

基盤岩上面深度は約−110m〜−190mで、全体に緩やかな起伏がを示すが、CMP No.200付近で30m程度の落差を持つ断層と推定される構造が見られる。この構造は、位相などから見ると必ずしもシャ−プな断層面を持つものではないが、両側の基盤岩上面の反射が明瞭であり、またこの構造に伴う堆積層の変化が見られる事などから、断層と判断される。

<三豊層群>

基盤岩上には三豊層群と推定される比較的堆積構造の明瞭な地層が認められる。この三豊層群の上位にはP波速度の遅い表層部があるが、三豊層群とは傾斜不整合も認められ、堆積年代の異なる不整合の関係にあると推定される。

基盤岩上面 CMP No.200付近の断層による影響は、CMp No.120〜350における三豊層群の緩やかな撓曲として認められる。また、CMP No.200〜340 にはやや低角な小さな落差を伴う断層が認められる。これらの構造は三豊層群上面には影響をおよぼしておらず、比較的古い活動と考えられる。

CMP No.490〜580 の三豊層群の反射記録は、やや不明瞭であり堆積構造が乱されている様に認められる。

図2−4−24−1 長尾測線検討図

(図中の数字はP波速度)

図2−4−24−2 長尾測線検討図

(相対振幅+零位相表示;図中の数字はP波速度)

図2−4−24−3 長尾測線検討図

(零位相表示;図中の数字はP波速度)

図2−4−25−1 香南測線検討図

(図中の数字はP波速度)

図2−4−25−2 香南測線検討図

(相対振幅+零位相表示;図中の数字はP波速度)

図2−4−25−3 香南測線検討図

(零位相表示;図中の数字はP波速度)