長尾断層系に関する調査では、平成8年10月から調査を開始し、文献調査、空中写真判読調査、地表踏査(概査)を実施し、精査地点および反射法地震探査測線を絞り込んだ。
(2)反射法地震探査
平成8年10月29日〜11月4日にかけて長尾町と香南町で実施された反射法地震探査の結果、以下の点が明らかになった。
@長尾断層では、南へ約50°傾斜する逆断層で、三豊層群基底面に約40〜70mの高度差を与えている。
A長尾測線では、南側(上盤側)の花崗岩類(基盤岩)が浅く地表下約10m付近まで頭を出している。これに対して、香南測線の長尾断層の南側(上盤側)では花崗岩類の上に三豊層群が厚さ100m前後堆積しており、トレンチ調査地点としては、好ましくないことが確認された。
(3)ボーリング調査・比抵抗映像法電気探査
反射法地震探査の結果を受け、トレンチ調査は、花崗岩の基盤の浅い長尾町など東部 地区で実施することが妥当との判断を得て、ボーリング調査および比抵抗映像法電気探査を長尾町と三木町で実施し、トレンチ調査候補地点として、以下の4地点を選定した。
@長尾町塚原地点(LV面)
A三木町氷上石塚地点(沖積面)
B三木町田中地点(LU面)
C三木町氷上宮下地点(LV面)
(4)トレンチ調査
@長尾町塚原地点は、諸般の事情によって、トレンチ調査は実施できなかった。
A三木町氷上石塚地点では、平成8年12月にトレンチ調査を実施し、旧河床堆積物および土石流堆積物の基底に約1.5mの高度差を与えた断層を確認できた。本断層は現地表面(河床から比高約8m)を形成する旧河床堆積物に覆われており、最新の活動時期と単位変位量に関するデータを得た。
B三木町田中地点のトレンチ調査においては、LU段丘堆積物を変位されている断層を確認し、ボーリング調査結果と併せて、最新の活動時期、1つ前の活動時期および単位変位量に関するデータを得た。
C三木町氷上宮下地点におけるミニトレンチでは、流紋岩とLV段丘堆積物との境界断層を確認し、最新の活動時期および単位変位量に関するデータを得た。
(5)試料分析
トレンチおよびボーリングコアの試料の14C年代測定、火山灰分析を行い、活動時期の絞り込みを行った。
(6)総合解析
調査結果を総合解析し、長尾断層の長さ、活動度、最新活動時期、活動間隔、単位変位量について分析し、地震危険度に関する評価を行った。