7−3−1 トレンチの層序

松林寺トレンチにおける地層は、上位より盛土、A層、B層およびC層に区分される(図7−8)。トレンチのスケッチを図7−9に示す。

(1)盛土

盛土はトレンチ上部に最大層厚1m程度で分布する。上位に分布するはず野耕作土との境界は不明瞭であり、ここでは一括して盛土として扱った。

(2)A層

褐色のシルト層を主体とし、北側法面では最下部に暗灰色の強腐植層となっている。南側法面では3層の弱腐植層を挟む。部分的に数cmの円礫を含む。最下部の強腐植層の炭素同位体分析により8,800±70y.B.P.の年代を得ている。

(3)B層

礫を比較的多く含む上部層と含まない下部層とに分けられる。上部層は青灰色の礫まじりシルト質砂からなる。礫は亜円礫で、南側法面の方が礫径がやや大きく、最大20cm程度であり、礫の量も多い。北側法面は最大礫径5cm程度である。下部層は青灰色のシルト質砂である。上部層の礫混じりシルト質砂中から得た木片の炭素同位体分析により30,640±230y.B.P.の年代を得ている。

(4)C層

青灰色のシルトからなり、最上部は弱い腐植質である。