5−3 野崎地点の解釈
出店断層帯に位置する野崎トレンチにおいて、断層変位に起因する撓みを確認した。撓みは東側低下、約1mであったが、小断層や亀裂などの現象が認められなかったので、最新イベントを分離することはできなかった。トレンチ内でみられる撓みの量は約1mであったが、先に行ったボーリング調査によるL段丘堆積物基底の断層変位量(鉛直)は約3mである。同じく野崎地点におけるL段丘の地形断面測量による鉛直変位量は幅数100mの撓みを含めて、東側低下4.5〜5mである。胆沢川扇状地のL段丘面でも鉛直変位量は4〜5mであり、野崎トレンチの結果と矛盾しない。したがって、トレンチ内でみられた約1mの撓みは全体をあらわしておらず、トレンチよりさらに広範囲にとれば鉛直変位量は4〜5mに達すると考えられる。また、年代測定試料は得られなかった。