5 地形面測量による変位量の推定

段丘面や扇状地面は、形成当初にはスムースな縦断形をもっている。したがって狭い範囲で見ればその勾配は一定であったと考えられる。形成終了(段丘化)後も相当期間、地表面の形態、勾配が保持される。断層活動によって変位を受けた場合、一定勾配の地表面に高度不連続が生じることになる。その結果、断層を挟んでほぼ同勾配の2段の地表面が形成される。本章の目的は、断層変位によって2段になった地表面の高度差を計測し、地表面形成終了後、現在に至るまでに被った変位の垂直成分を求めることである。

本地域の断層は幅の広い撓曲崖として認められることから、形成当時の勾配が残されている地表面は断層からかなり離れた位置にあると思われる。そこで、断層を挟んで両側に同時代の地表面が分布する地域において、地表面の断面測量(37測線,測線の長さは500m〜1000m,合計25km)を行った。測線の位置を図5−1−1図5−1−2図5−1−3に示す。測量後、撓曲帯の幅を超えなかったと思われる測線については、 1/2,500地形図を用いて測線延長上の断面図を補充した。断層を挟んだ両側の地表面にほぼ一致する2本の平行線を引き、その高度差を計測することによって真の垂直変位量を求めた。