花巻市関上場の寒沢川左岸では、L�T段丘が撓曲を伴いながら10mの鉛直変位を示し、右岸ではL�U段丘が4mの鉛直変位を示す。
横森山では尻平川に沿って分布するH�V段丘とM段丘とが比高50〜100m前後のバルジを作り、平野側へ大きく撓曲している。低下側にはL�T段丘が広がりH�V,M段丘は残存しないので下盤側の高度が不明であるが、少なくともH�V段丘とM段丘とは、それぞれ>48m,>35mの鉛直変位を示す。また、L�U段丘も幅 500mの撓曲を示し、その鉛直変位量は12mである。L�T段丘は最終氷河期前半の段丘を考えられ、4万年前程度と推定される。積極的根拠はないが、M段丘はStage6、H�V段丘はStage8と推定され、それぞれ15万年前、21〜23万年前と考える。段丘堆積物の基盤をなす更新世前期の岩崎新田層(大石ほか、1996)もテクトニックバルジと対応して背斜構造をなしており、ここでは変位量の累積が典型的に認められる。
尻平川以南では変位地形は不明瞭となり、直線性が良くない山麓線が約5km続いて和賀川に至る。和賀川以南では再び山麓線に沿って、段丘面の撓曲を含めて明瞭な変位地形が連続する。北上市萓刈場ではM段丘を変位させる低断層崖が明瞭に認められる。その前面約1kmの新夏油にはL�U段丘を変位させる低断層崖も認められる。